子どもの学力をアップさせるためには子どもの勉強に対するモチベーションを維持することが大事。このことから子どもをモノで釣って机に向かわせる親も中にはいますが、こういった勉強のさせ方には罠が潜んでいるので要注意。
頑張った子どもにご褒美をあげることの何がいけないの?と思われるかもしれませんが、その弊害をとある実例を交えてお伝えします。
お小遣いアップを断られたAさんの話
「私は中学生の頃、好きなアーティストに夢中でした。ある時どうしても欲しいCDがあり、それを買うにはお小遣いが足らなかったので、『テストで100点取ったらお小遣いちょうだい』と親にお願いしたのです。ところが親はけっして首を縦に振りませんでした。
一緒に同じアーティストを追いかけていた友達のBさんはテストや通知表の成績でたくさんグッズやCDを買ってもらっていたのに……。私はBさんより成績がいいのに何も買ってもらえずお小遣いももらえず、とても悔しかったです。」
「達成感」が「物欲」にすり替わる
これだけだと、友達の親との違いに不満を感じる子どもの話ですが、これには続きがあります。実力テストが始まって順位が発表されるようになると、Aさんはヤル気を出してどんどん勉強に夢中になっていきました。対してBさんは嫌いな勉強をおろそかにし、アーティストの追っかけにのめりこんでいったのです。
一見反対の結末のように思えてしまいますが、実際に子どもをモノで釣るとこのようなことが起こり得るのです。Aさんはテストの結果でモノを与えられることはありませんでしたが、その代わりにいい成績を取ることで得られる純粋な達成感を味わうことができました。
対してBさんは物欲を満たすことばかりに気持ちが向かってしまい、勉強が難しくなるにつれてヤル気を失ってしまったのです。つらいばかりの勉強を続けるよりもただ好きなアーティストのことだけを見ている方が楽しいという結論に行きついてしまいました。
子どもへのお金のかけどころが明暗を分けた
親は子どもへの教育にお金をかけるもの。その教育費は少なからず家計を圧迫することになります。だからこそ、限られた予算は子どもにとって最も有益なことに有効活用されなければいけないのです。
Aさんの場合は「ご褒美」にお金をかけられなかった分、家庭教師に勉強をみてもらうようになってグングン学力を伸ばしていきました。子どものワガママ1回の金額は大したことではありませんが、塵も積もれば山となります。
そのお金を子どもの学力を伸ばせる可能性に使うことができたら、結果は言うまでもありませんね。
ご紹介したAさんとBさんの話は実話です。Aさんは志望校に見事合格し、その後苦労しながらもずっと意欲的に勉強に取り組み、進みたい道を突き進んでいます。
一方Bさんは志望校に落ちたため滑り止めの高校に通いました。そこで行きたい大学の推薦話があったものの、その高校では履修しないレベルの単元の履修が必要だったため叶わず、とても悔しい思いをしたようです。